10歳前後から「勉強のやり方」を変えていく必要があります
小学校の勉強は高学年になるにつれて、だんだんと難しくなっていきます。
特に算数は4年生あたりから難しくなり、しっかりと理解ができていないとテストの点数も悪くなってしまいます。
その結果、算数が嫌いになりやすいのもこの時期です。
そして苦手意識をもったまま中学生になると、さらに嫌いになってしまいます。
そのため、小学校のうちは理解に差がつきやすい算数の勉強に力を入れることが重要だと考えています。
「小中学生の学びに関する実態調査2014」(ベネッセ総合教育研究所)
高学年になると算数の勉強内容が難しくなることも原因の一つだと思いますが、他にも勉強のやり方が大きく関係しています。
10歳ごろまでは理解できないことでも丸暗記して覚えることができます。
九九を低学年で覚えさせるのはこのためです。
しかし、人間の脳の発達上、10歳前後からだんだんと理解をして理屈を覚えていかないと覚えられなくなっていきます。
この段階で暗記中心の勉強のやり方から、理解して覚えていく勉強のやり方に変えていかないと成績が伸びにくくなります。
暗記にたよった勉強では応用も効かないため、考えて勉強することが必要になってくる時期です。
読解力がないとこんな心配が…
小学校の勉強の順番として、かけ算の単元を習った後に割り算の単元を習います。そして、かけ算の単元を習っているときの文章問題は、ほとんどかけ算で答えが出せます。
次に割り算の単元を習っているときに文章問題が出されると、あまり考えずに割り算をする子が多くいます。
そして、かけ算が必要な文章問題が出題されても気付かずに割り算をして間違えます。
もしこのような勉強になっているとしたら、何も考えずに計算問題を解いているのと同じです。
正確に計算できることはもちろん大事ですが、昔と違ってより読解力が重視されてきています。
また、読解力だけではなく表やグラフを正しく読み取れる力も必要になってきます。
小学校のうちから考える力をつけましょう
初めて習うことは単元ごとに学習することでより理解が深まりますが、単元ごとの勉強だけでは本当の学力はつきません。
小学校では単元ごとのテストがほとんどです。
そのため単元ごとのテストでは、この本当の学力がついているかを確認することは難しいです。
学習指導要領が変わり、以前は中学校で勉強していた内容を小学校で勉強するようになって難しくなり、勉強する内容量も増えています。
しかし、小学校での授業時間数が増えているわけではないので、単元ごとの授業をするだけで手一杯です。
文章題でかけ算を使うべきなのか、割り算を使うべきなのかを考えて判断するような単元が混ざった問題の練習をする時間はほとんどありません。
このような勉強のやり方のままでいると、小学生のころは勉強ができていても中学生になって急に成績が悪くなってしまうことがあります。
中学生になると定期テストの範囲もひろくなり、単元が混ざった問題や応用問題も多くなるためです。
そして模試や高校受験では、単元が混ざった問題や応用問題がさらに多くなります。
小学生の早い段階から理解をして考えて覚える勉強のやり方に変えていくことが、合否をわけるポイントになると思っています。
単元が混ざった問題を解いて理解を深める時期をつくる
では、どうすれば単元が混ざった問題でもしっかりと考えて解けるようになると思いますか?
先ほども例に挙げましたが、小学校の教科書やドリル、市販の問題集などは基本的には単元ごとに問題が出題されます。
塾用の教材でも単元ごとの出題の方が多いです。
このような教材だけでは、単元ごとの理解はできても単元が混ざった問題の練習が不十分です。
一番良い対策は単元が混ざった問題を定期的に解くことです。
それだけではなく、その子の理解度に合わせた問題であることも重要です。
今までに学習した単元が複数混ざった問題を解くことで、本当に理解できているかが確認できます。ただ、このような機会は中学受験をしない小学生の場合は、6年生の全国学力・学習状況調査ぐらいしかありません。
まずは単元毎にしっかりと理解することが最優先されます。
そこで、夏休みや冬休み、春休みなどの学校の勉強がストップする長期休みの期間を利用して、今まで学習した単元が混ざった問題で演習することで復習するだけではなく必要な単元を判断して解く力をつけることができます。
間違えた問題はなぜ間違えてしまったのかをしっかりと理解し、同じような問題を解いてどのように考えていけばよいかを理解します。
理解が不十分なところがあれば基礎に戻り、その子の理解度に合わせて確認していくことで、問題をしっかりと理解して考えて解ける力をつけていきます。
勉強に苦手意識をもたせないことが重要
中学生の場合は高校受験という目標がありますが、小学生の場合は中学受験をしない子にとっては目標が見つけにくく、勉強の動機づけが難しいことが多いです。
自分から塾に通いたいと言う子はほとんどいなく、好きなことをしたり遊びたい気持ちのほうが強いですよね。
学校の授業がしっかり理解できているならまだ良いですが、あまり理解できていない場合は注意が必要です。
そのようなお子さんの場合、意識してほしいことは勉強に苦手意識をもたせないことです。
勉強をすれば学校の月例テストや単元テストで良い点数が取れるけど、それ以外は遊びたいから最低限の勉強だけしている。
このような状況ならいいですが、勉強に苦手意識があって学校の授業を聞いていてもあまり理解できない、テスト勉強をしても点数が取れない、こうなっている場合は深刻な状況です。
そして、勉強に苦手意識がある子ほど、集中して勉強できていないことが多いです。
勉強を頑張ろうと思っていても理解ができないからつまらなくなり、手遊びをしたり視線がキョロキョロしたり、集中して勉強ができない。
時間だけがダラダラと過ぎてしまい、結局勉強も理解できず、さらに苦手意識が増していくという負のループになってしまいます。
集中して短い時間で勉強を終わらせる習慣をつける
勉強時間は長ければ長いほど良い。そう思われるかもしれませんが、私は必要な勉強が終わるのなら勉強時間は短ければ短いほうが良いと考えています。
学校の宿題を終わらせるのにダラダラと1時間勉強するのではなく、30分集中してパパっと終わらせる。そして残りの時間は自分の好きなことをすればいいと思います。
この意識や習慣づけをぜひご家庭でも取り組んでみてください。
ダラダラと勉強してしまう原因は、短い時間設定で勉強することが意識できていないことと、問題を解いてわからなかったときにすぐに理解できる環境がないからです。
そこで学習習慣スクールでは、小学生は授業時間を30分に設定しています。
短すぎると感じるかもしれませんが、一般的に集中力が続く時間は30~50分と言われています。
小学生の勉強が苦手なお子さんの場合、30分でもずっと集中できないこともあります。
集中できないまま勉強時間を長くとるよりも、短い時間だとしても集中して勉強することで勉強効率を上げることを目指しています。
集中ができるお子さんやもっと勉強を得意にしたいというお子さんは、10分の休憩をはさんで30分授業を2コマ続けて受講することも可能です。
同じ日ではなく、別の曜日に分けて授業を2回受講することで勉強の習慣をつけることもできます。