大学入試の変化からわかること
2021年度から、大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが始まりました。
22年度の共通テストでは、数学ⅠAの平均点が例年より20点ほど低い37点台でした。
他の理科や地歴公民などほとんどの教科でも大きく平均点が下がり、驚いたことを覚えています。
ただ、問題がすごく難しくなったわけではありません。
今までのセンター試験と新しく始まった共通テストでは、試験の傾向が大きく変わりました。
一番大きな違いは、問題文の文章量が増えたことです。
長い問題文を正確に読み取ることができなければ答えられないような問題がどの教科でも出題されました。
長い文章を読んで解かなければいけないので、試験時間がギリギリになってしまったことも平均点が大きく下がった原因だと思います。
他にも典型的なパターン問題が減って、初めて見るような問題が中心になったことも平均点が下がった原因と考えられます。
典型的なパターン問題は教科書や問題集で繰り返し練習をすれば点数は取りやすかったですが、共通テストでは今までに解いたことがないような初見の問題が多く出題され、公式の暗記だけでは解きにくい問題でした。
日常を想定した場面設定の問題や問題文で与えられた情報を整理して問題を解いていく形式の出題が増えました。
高校入試でも同じような変化が起こっています
大学入試での出題傾向の変化が高校入試にも影響を与えています。問題文の文章量が多いものや会話形式の問題文が増えたりと、正しく読み取ることができているかを確認するような問題が年々増えてきています。
昔は社会などの暗記科目は重要な用語を覚えているかが入試での点数に直結していましたが、今はそのような問題の割合は少なくなりグラフや表などの資料を正しく読み取ってその場で論理的に考えることができれば正解できる問題もあります。
だからと言って、必要な知識を暗記しなくて良いということではありません。
複数の知識を組み合わせて考えないと正解できない問題があったり、選択肢の問題でも1つを選ぶのではなく正しい2つを選ぶ問題など、より正確な知識も必要になってきています。
定期テストでは点数が取れるのに模試や実力テストでは点数が悪い
先ほど大学入試で典型的なパターン問題が減って、初めて見るよう問題が増えたことが平均点が下がった要因と伝えました。
これは中学校での定期テストと模試や実力テストでも同じようなことが起こっていると感じています。
学校の定期テストでは高得点が取れても、模試や実力テストでは思ったほど点数が取れない子もなかにはいます。
定期テストは教科書や学校のワークからの出題が中心となり、先生にもよりますが応用問題の出題は少しです。そのためワークを繰り返し解いて理解し、典型的なパターン問題を解けるようにしておけば高得点が取りやすいです。
それに対して模試や実力テストでは、単元が混ざった問題や初見の応用問題が多くなるだけではなく、入試のように文章量が多い問題文が増えるため、慣れていない子にとっては点数が取れないことが多いです。
試行錯誤して考える経験が不足している
典型的なパターン問題をしっかりと解けることはもちろん大事です。
ただ深く理解せずになんとなく理解しただけの状態では、少しひねった問題が出題されると急に解けなくなってしまいます。
今までに解いたことがある問題とどこまでが同じで、どこが違うか、そのように自分でも考えて理解を深めながらパターン問題の数を増やしていくことが重要です。
そして初見の応用問題を解けるようになるためには、複数のパターン問題の考え方を組み合わせて考えてみることが必要です。
こればかりは実際に試行錯誤してどのように考えていけばよいか慣れていくしかありません。
どこまで考えられてどこからわからないのか、授業で対話しながら少しずつヒントを与えていくことで、どのように考えていけばよいかという経験値がたまっていきます。
このような授業を学習習慣スクールでは心がけています。